No.490 2021年 9月号
国際ドラマフェスティバルinTOKYOと東京ドラマアウォード
国際ドラマフェスティバル inTOKYO
エグゼクティブプロデューサー
副会長 香月 純一
今年から重村一副会長のあとを受けて担当します香月純一です。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。国際ドラマフェスティバルinTOKYOは、日本ドラマの海外発信を目的とした、日本初の国際的なドラマ祭で2007年から開催されています。主催は民間放送連盟、NHK、映画・ドラマ制作者、実演家団体などで構成する「国際ドラマフェスティバルin TOKYO実行委員会」で言わば〝オールジャパン〟の体制です。
韓国や中国のドラマ作品は日本をはじめアジア各国で盛んに放送され多くの視聴者を獲得しています。その背景にはアジア各国がテレビ番組に対する援助を行うとともに、この種の国際コンテストやアウォードを展開し、コンテンツ流通の促進を図っていることがあり、この面では日本は大きく出遅れています。逆に言えば、まだまだ〝伸びしろ〟があります。国際ドラマフェスティバルを契機として日本テレビの「マザー」「WOMAN」はトルコでリメイクされ大ヒットしました。また今年に入ってTBSの「愛なんていらねえよ、夏」もトルコでリメイクされると発表されました。
第2回となる「国際ドラマフェスティバルin TOKYO 2008」よりドラマ賞である「東京ドラマアウォード」が創設され、この賞の授賞式が本フェスティバルのメインイベントとなっています。国内の優れた作品を表彰しますが、この賞は従来のテレビ番組の賞とは異なり、世界各国での市場性や商業性に評価基準を置いたものになっています。そしてもう一つの特徴がドラマ制作者が選ぶ賞であることです。第一次審査は当協会の会員のみなさまの投票の結果を反映します。第二次審査も民放各局とNHKのプロデューサーが中心です。またローカルドラマ賞に関しては、当協会の選抜メンバーが審査にあたります。
私は一昨年から「東京ドラマアウォード」の選考に関わっていますが、各局の選考委員のみなさんが自局のドラマだけでなく他局のドラマもたいへんよく視聴し、またフェアに評価していることに感銘を覚えました。
まだ10月末の授賞式がどのような形態になるのかは検討中ですが、本年の「東京ドラマアウォード」にぜひご注目ください。
プロデューサーズ・カフェについて
セミナー・カフェ委員長
理事 山本 敏彦(NHKエンタープライズ)
例年開催してきた「プロデューサーズ・カフェ」でしたが、昨年度は、新型コロナ感染拡大のため開催を断念いたしました。今年も昨年以上に厳しい状況が続いており、会場に皆様を迎えての通常開催は難しいものと考えています。
しかしながら、コロナ禍により在宅ワークが急速に浸透してきた今だからこそ、リモート会議システムを利用しての「カフェ」の開催を現在検討中です。集客やアクセス方法など、課題は多々ありますが、「今年は何かやるぞ!」という思いで準備しているところです。
一昨年までの「カフェ」は、ヒット作のプロデューサーや脚本家の皆様に登壇いただき、作品開発の秘話や裏話などで会場を盛り上げていただきました。今回は、リモートで皆さんとつながることもあり、メインスピーカーを数名立てたうえで、コロナ禍での制作の現状や悩み、現場を守るため知恵と工夫を共有する前半と、これからの時代に求められる「多様性」についてのテーマを取り上げる後半の2部形式にしたいと考えています。後半のテーマは「ジェンダー」について考えたいと思い準備をしています。
トークゲストを招き、「いまさら聞けないジェンダーの基礎」の話から、「映像制作に必要なジェンダーの知識」などを語っていただこうと考えています。通常とは違う開催方法、内容の「カフェ」になりますが、どうぞ皆様のご支援ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
新体制で事業委員会スタート!!
事務局長 市川哲夫
7月26日(月)に開かれました、第2回(第46期)理事会において、各委員会メンバーが承認決定を致しました。 コロナ禍の異常事態が続く中、一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会は以下の顔ぶれで難局を乗り切ることとなりました。会員各位のご協力を宜しくお願い申し上げます。
◎組織強化・事業開発委員会(13名)
委員長
奥田 誠治(松竹㈱)
副委員長
重村 一(㈱ニッポン放送)
山田 良明(㈱共同テレビジョン)
香月 純一(東映衛星放送㈱)
若泉 久朗(日本放送協会)
尾崎 充信(㈱NHKエンタープライズ)
◎会報委員会(12名)
委員長
松川博敬(日本放送協会)
副委員長
香月純一(東映衛星放送㈱)
◎著作権委員会(3名)
委員長
藤澤浩一
◎総務委員会(2名)
委員長
渡辺紘史(フリープロデューサー元NHK)
副委員長
富山省吾(日本映画大学)
◎親睦委員会(4名)
委員長
高橋信仁(フリープロデューサー元松竹㈱)
副委員長
山本秀人(㈱NHK出版)
◎エランドール賞委員会(23名)
委員長
屋敷陽太郎(日本放送協会)
◎セミナー・カフェ委員会(9名)
委員長
山本敏彦(㈱NHKエンタープライズ)
◎アクターズ委員会(11名)
委員長
椿 宜和(㈱KADOKAWA)
只今撮影中
テレビ東京 制作局ドラマ室
山鹿 達也
金曜8時のドラマ
らせんの迷宮~DNA科学捜査~
「らせんの迷宮~DNA科学捜査~」 10月15日(金)よる8時スタート 「本当にこれで撮影は終わるんですね」 8月17日19時過ぎ。青梅市の倉庫で行った物撮りで全ての撮影が終わった。
クランクインしたのは、昨年3月17日。コロナで2回中断を余儀なくされ、アップまで1年7カ月かかったことになる。
天才DNA科学者と勘に頼る熱血刑事がコンビを組み様々な難事件を解決するヒューマンミステリー。「PCR検査」「mRNA」・・・初めて聞く専門用語に何のことかわからず頭を抱えていたが、今やテレビやwebで普通に耳にするようになったから驚きだ。
すっかり撮影現場は変わってしまった。マスク着用、換気、距離を取り「三密」を避けるのは当たり前で、これからは「ゼロ密」である。撮影前の事前PCR検査、2週間前からの検温報告、台本打合せも衣装合わせも美打ちもスタッフ打ちも、現場は少人数で後はリモート参加。とにかく人と接しないようにすること。これが「コロナ禍での撮影」である。
映画でもテレビでも現場はみな大変だ。クランクイン前に全スタッフ・キャストにPCR検査を行った。今年6月の再開前も同様に行った。ようやく再開したと思ったら、全国的に感染者が爆増。1日の感染者数が日々更新されていく・・・。「自分が感染したら撮影が止まるのでは?」「誰か出ると撮影を止めざるを得ない」。もちろん、命に関わる問題だし、クラスターを起こす訳にはいかない。しかし撮影が止まり延期になると、莫大な予算がかかる・・・。毎日、ドキドキで恐る恐るの「ただいま撮影中」が続く。
そんな七転八倒、いや七転八起の「らせんの迷宮」であるが、田中圭と安田顕のありそうで無かった二人のコンビが新鮮で素敵である。演技巧者の2人の息が合ってるとはこのことで、田中さんは、小難しい専門用語混じりの長台詞をいとも簡単にひょうひょうと口にし、変わり者の天才科学者をクールに演じ、安田さんが、涙もろい人情派の刑事を表情豊かに人間臭く演じていて、この二人に惹きつけられる。
いまは「ただいま仕上げ中」である。1年半前の映像と新撮した映像がMIXされている。1年の中断・延期中に子役は身長が伸びた。長かった髪をショートにした出演者がいた。コロナ禍で健康に目覚めて10キロダイエットした出演者もいた。プロの技を駆使して工夫していただいたが、それでも繋がってないところはご愛敬で(笑)。いよいよ10月15日から放送開始。こうして皆さんにお届けできることが、制作人として何よりの喜びである。とにかくここまで漕ぎつけられて皆さんに感謝です!
私の新人時代
東映 テレビ企画制作部長
塚田 英明
松方弘樹さんと北大路欣也さん。私が入社した今から27年前(1994年)、配属先の東映京都は その二大巨頭時代でした。東映は、片岡千恵蔵×市川歌右衛門・両御大の頃から、大川橋蔵×中村錦之助、鶴田浩二×高倉健と両雄並び立ってきた会社ですが、京撮の演技会館2階・主役級スターの控室通りは当時、手前が欣也さん、奥が松方さんと常に決まっていました。
テレビ時代劇をガンガン作っている時代で、私は京撮の中にあるテレビプロデューサー集団の一年生。当時は『暴れん坊将軍』『三匹が斬る』等、他にも定番シリーズがありましたが、私は松方さんと欣也さん、お二人の作品ばかり担当していました。松方さんとは制作進行で映画『蔵』等、APでテレ朝『遠山の金さん』『遠山の金さんVS女ねずみ』、テレ東12時間『家康が最も恐れた男 真田幸村』等を。欣也さんとは進行で正月SP『家光謀殺』、APではフジの『忠臣蔵』『隠密奉行朝比奈』『旗本退屈男』等を。東映京都のメインストリートを歩いている気分でしたね。
松方さんには『遠山の金さんVS女ねずみ』で、自分が書いた脚本を採用してもらいました(※鈴木則文さんに仕上げてもらって連名クレジット)。「へえ、塚田が書いたんだ」とニヤリ顔で受け入れてくださった松方さん。新人Pのうちに分不相応なことをしてもらったものです。一方、欣也さんには『忠臣蔵』の時、褒めてもらいました。『FNS超テレビの祭典』という特番で、特別に作った番組CMを競い合うイベントがあったのですが、私が作った「ミッションインポッシブル仕立ての忠臣蔵」が大賞を採ったのです。「いやあ、アレ良かったよ」と欣也さんの満面の笑み。最高でした。
思い返せば、このことにせよ、日々のキャスティング等にせよ、松方さんも欣也さんも若い私がやることを尊重してくれました。テレビ企画制作部長を務め、部員たちを束ねる今、そこには改めて学ばないといけないと思います。欣也さんには、東映は今も『刑事7人』『三屋清左衛門残日録』等、ずっとお世話になっていて、本当にありがたいです。一方、松方さんは4年前にお亡くなりになりましたが、個人的には何も恩返しが出来なかった気がして悔いが残ります。その気持ちも含め、大スターお二人から受けた恩恵・数々の学びを今の仕事に活かそうと決意を新たにした50歳です。
事務局だより
◎正会員入会
新垣弘隆(松竹)
小西千栄子(NHK)
加藤正俊(NTV)
片山 剛(TBSテレビ)
村瀬 健(フジテレビ)
加藤達也(フジテレビ)
梶本 圭(フジテレビ)
渡辺恒也(フジテレビ)
金田耕司(日本映画放送)
小林良弘(日本映画放送)
荒瀬佳孝(日本映画放送)
◎退会
土井裕泰(TBSテレビ)
清水一幸(フジテレビ)
澤 尚志(日本映画放送)
小川勇樹(日本映画放送)
第71回 協会親睦ゴルフ会のお知らせ
《日時》2021年11月27日(土曜)
9時17分アウトスタート(5組予定)
《場所》越生ゴルフクラブ
《会費》22,000円予定
(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締切》11月15日(月曜)までに事務局必着。
インフォメーション
◎会議の記録
- 7月20日(火) 18時~ 会報委員会(プロデューサー協会事務局)
- 7月26日(月) 18時30分~ 第2回定例理事会(東映本社8階会議室)
- 8月24日(火) 17時~ 会報委員会(リモート)
◎会議の予定
- 9月21日(火) 17時~ 会報委員会(リモート)
- 9月22日(水) 18時30分~ 第3回定例理事会(東映本社8階会議室)